いちこの週刊爆心地

「遅いな~、王子様。8年早く着きすぎちゃったかな~?」

呪いランチ

 人生の中で「これまずかった!二度と食べたくない!」と思うような食べ物ってありますか?

私は味覚がニブいのか、それとも脳味噌がお花畑なのかは分からないけど(後者の可能性は限りなく高い)

あんまりまずかったと思うものってないんですよね。いや、そもそもまずかったと思っても大抵すぐ忘れる。喉元すぎればすぐうんこって言うしね。

そんな私に精神的傷(トラウマ)を与えたのがハヤシライス。

 

何故かってそれは……。

 

 

それはそれはもう暑い日だった。

もうオフ会だしとか言って気合入れて塗った日焼け止めとファンデが蒸発するのをなすすべもなく流れるのを眺めるしかなかった。

もう久々に会う3人の生っちろい肌とか麦わら帽子(わら12個で作れる)とかほぼほぼ気にしている余裕はなく、手を汚すことを目的に作られたとしか思えないポップコーン――美味しかった、を食べたり、ブラブラとあてもなくさまよったりしたけれど、何がすごいってもう見渡すばかりの人の群れ。もうヌーかって思うぐらい。あの街で唯一のオアシスはこちらのうさぎカフェくらいでしたね。

もうめっちゃかわいい。特にくぴ太郎君。もうマジコミュ症。こっち向いてくれない。サービス精神ゼロ。餌だけ食べてくる。もはやマイナス。

そんでお腹空いちゃったわけですよ、もうね、炎天下の中歩いたらもうお腹空いちゃって。

もう空腹は最高のスパイスとはよく言ったもんで、もう何でも美味しく食べれちゃう感じだったわけ。

でももう夏休み期間の原宿。もうね、オシャレなレストランは人口密度はやばいわ。行けども行けども空いているお店なんてどこにも存在しないわけ。小市民の味方ジョナサンが原宿の民を手を変え品を変えエンゲル係数を上げって感じで回転率をあげても人が多すぎるわけ。私がテロリストだったら次はここを爆破するね。いやまじで、そんぐらい人が多かったもん。夏・原宿。殺意の街。

でも私が本当に爆破したいのは原宿じゃなかった。

もう、なんであそこのお店を選んじゃったのかってもう何度も何度も過去に戻ってやり直そうとしたんだけどちょっと修行が足りなくて。いやもう本当に。

あんまりレストランとか空いてないし、実はこの後に温野菜を食べにいくとかいうイベントもあったものだから、軽食にしようか~ってことでカフェに入ったの。THE原宿のオシャレなカーフェーにね?

もう同行者はオシャレにBLTとかワッフルとか食べちゃってるわけ。よーし私も何を頼もうかなって悩んで、一番最初はオムライスか何かにしようと思ってたんですけど。

お姉さんが来ていうわけ、「今日のオススメもあります」って。ほらやっぱり私原宿とか行っちゃうオシャレ☆ガールだし。いやそれはともかく、オススメって言葉に弱いから見てみたらさ、十五穀米かなんかのカレーとかあるっていうじゃない?もう運命だと思ったの。カレー。外れないじゃん?まずく作れるわけがない。小学生の野外学習だってカレールーを入れたらカレーが作れる。バーモントカレーの功績はすごい、りんごとハチミツの力は世界を救うね。

意を決して頼んでみた。「本日のオススメカレーお願いします」って。

もうそれはそれはもう原宿週3です、みたいな顔で頼んだわけですよ。

「あ、ごめんなさい今日無いんです」

 

え?

 

ないんだ? さっきの話と違わない? びっくりした。

犯人がこんな簡単に供述を覆すと思わなかった。コナン君なら腕時計型麻酔銃で殴って知り合いのおじさんを昏倒させてた。

 

「でもハヤシライスならあります」

 

なんだ~~~~~!あるんだ~~~!

言っておくけど、私ハヤシライスにはうるさいからね!カレーよりハヤシライス好きだしね!

リンパンリンパン!林飯!!!ハ・ヤ・シ・ラ・イ・ス!

 

「それでおねがいします!」

 

二つ返事。即答。もうウキウキだよね。多分目の前に座ってたちふゆさんも同じ気持ちだったと思う。

原宿でハヤシライスとかハイカラかよ~~~~~!みたいなトコロあるでしょ?

♡ハヤシライス・ハピネス・ウェーブ♡プリキュアの必殺技のイメージ)

でね、和やかな会話をしながら、やっぱり調理の手間的にBLTとワッフルが出てきて、もうなんかめっちゃおいしそうなの。BLTとか必要もないオシャレなそれどこスロバキア?みたいな国旗とかぶっささってて「Eat Me☆」って訴えかけてくるわけ。ワッフルも小麦粉の塊の分際でベコベコにされてて、炎天下のマンホールに押し付けられてたの?ってぐらいめっちゃHOT。

もう期待が高まっていくわけ、キちゃってる!今日は最高のハッピーデーになる!

 

「お待たせしました、ハヤシライスです」

 

ん?

まぁ、いいか。

大きいスプーンにめいっぱい救った十五穀米にたっぷりとハヤシライスソースをのせていただきます!



「まぁ、いいか」じゃないよ。

自分のスピリチュアルな第六感を信じろよ!!!!!!

 

多分ね、結構シンクロしてた。

目の前のちふゆさんと目を合わせて

「あれ~?」って。

まぁ初見でちょっとした違和感はあった。

黒い。

な~にが、♡ハヤシライス・ハピネス・ウェーブ♡だ馬鹿野郎!って今なら言える。

でもその時はオフ会っていう手前もあったし、もう原宿のせいだと思った。

私の知らない原宿風ハヤシライス。

流行ってるんだと思った。でもふたくち目食べて思った。

「まずい」

もうね、一人暮らし始めて暫く経ってる。もうその道すがら一人暮らしの人と「一人暮らしするとまともなモン食べられないから大抵のモノがおいしくなるよね~」と負け犬の遠吠えほざいてた。

撤回~~~~~~~!!!!!!!!!!!

 

もう返す返す言うけれども。

もう、見た目がまず黒い。

デミグラスソースをさらに濃くしたような、ビターチョコみてえな色。

もう焦げてるの?って疑いたくなるような明らかな失敗カラー。

大学時代にドラストで買った安い毛染めで地毛から茶色にしようとしたけど染まらなかった者の末路みたいな色だった。

そんな色だからね、トマト味を感じないの。もう太陽の果実100%オフ。ビックリの大セール。

もう太陽を浴びることを法律で禁止された地下世界の民のようにむせび泣いた。

でもこういうご飯もあるんじゃないかって調べた。情報世界だもん、スマホあった(右手)

 

ハヤシライスとは、薄切り肉とタマネギバターで炒め、赤ワインドミグラスソースで煮たものを白飯の上にかけた料理。海外の料理をもとに日本で変化した洋食に分類される。

 

Wikipediaさんは教えてくれた。確かに太陽のフレーバーが入ってないハヤシライスもあるって。でも、そうじゃないって!!!!(涙目)

 

一部の洋食屋では薄切りの牛肉とたまねぎを炒めてトマトピューレ(または庶民的にトマトケチャップ)で和え、ドミグラスソースで軽く煮込んで作ることがある。

 

こういう記述もあったけど、それに安心したわけでもないの。

まずいの。

まずいっていうか、虚無なの。

味を感じないの。

元素の味?って感じだった。

牛肉も入ってた、タマネギも入ってた。ビタミンに味はないんだなって思う。

この時点でもうハヤシライスだっていうのは諦めてた。もういいの。

このトマト100%カットライスを見て誰もハヤシライスだって思わない。

現に私、ドブグラスソースって名づけちゃったもん。才能を感じるわ。

美味しければよかった。もう、ハヤシライスじゃなかったとしてもデミグラスソースライスでもおいしければまだ許せた。ハヤシライスを頼んでカレーが出てきてももう美味しかったらこんな悲劇は起きなかったんじゃないかなって思う!

牛肉の脂が大量に浮かんでいて、ドス黒い味のない汁は何なんだろうって。

何コレ魔女のスープ? 呪いに使うやつ? 絶望した。

あ、気付いちゃったこれ絶望だわって。もうパンドラの箱に入ってるやつだわ。

希望は入ってねえけどな。

もうご飯がおいしくてよかった。ドブグラスソース掛かっててもご飯がおいしいからね。大地のパワーを感じた。もうね、不幸中の幸いって感じだった。神は居たんだって思った。

いやでも神様、ドブは送り返すよ。

名探偵ばりに最初から整理したい。

「ダシと味を抜いて煮詰めた牛丼の死体」とかいう名前を賜ったこのトラジティ。

もういろんな予想が飛び交ってた。

「このあとルーを入れる予定だった」とか「昼シフトの人が夜シフトの人に伝達ミス」とか、

もう「もうハヤシライス食べたことなかったんじゃない?」とかまで想像の翼を広げた。飛びまくって、もう色々考えた、擁護もしようと思った。

だんだん気持ち悪くなって吐くまではな!!!!

金取ってポイズンクッキングするのやめろ!!!!訴えるぞ!!!!




文中に沢山使われているある言葉は私の大いなる憤慨と殺されてまでクソまずい料理にされた牛さんの叫び声です。

もう!!!!!!!!!!!!!!