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いちこの週刊爆心地

「遅いな~、王子様。8年早く着きすぎちゃったかな~?」

FF14 01. 兄を探しに

 

「兄さん……?」


 頬を撫でられた気がしてそっと瞼を開くと柔らかな日差しが青々と生い茂った木々の隙間からアーカスを照らしている。陽光を反射しながら溢れる緑はまるでエメラルドの空に見えた。

 

「兄さんなわけないな・・・・・・」

 

 自分が転寝していた事に気がつくと、またそっと幼い頃の撫でてくれた兄の手のような優しい風が通り抜けていった。がたごとと馬車は揺れる、馬車と言ってもこの大陸特有の黄色い大きな鳥が曳く乗り物だ。
相乗りの乗客は恋人同士のように寄り添う雪のように美しい双子ともう一人、いかにも商人然とした浅黒い肌の好漢と目が合うと白い歯をむき出しにして笑った。

 

「目が覚めたかい?」

 

「ああ、グリダニアはあとどれくらいだ?」

 

 あともうすぐってところかな、そう言って好漢は小さな鞄から水筒を取り出す。木をくりぬいて作られた作られたコップは、漆のような加工がされていて、つるつるとした手触りがする。なみなみと注がれた琥珀色の液体は何かの果汁を絞って作られたもののようで、少し酸味が強いものの寝起きの不快感の残る喉にはちょうど良い爽やかさだった。

 

「ありがとう」

 

 また風がアーカスの横をすり抜ける。それが白いぬいぐるみのようなものに見えたのはまだ夢でもみているのだろうか。まだ重い瞼を擦る。ほどなくして止まった馬車から降りると、目の前の門には「グリダニア」の文字。読んだ書物によれば青狢門で間違いないはずだ。門の横には苔色の布地に土色の皮を組み合わせたグリダニアを象徴するカラーリングの門番がこちらを見ていた。好漢が手を挙げると門番は大きな獣の牙に似た刃のついた槍を掲げる。

 

「兄ちゃんはグリダニアには何の用事で?」

 

「兄を、……探しに」