いちこの週刊爆心地

「遅いな~、王子様。8年早く着きすぎちゃったかな~?」

自然薯、恋をする

いっぴきのくろいいぬはずっとじめんをほっています。

どこかにいっては戻ってきて 地面をほっては
わん わん わん
なんどとめても いうことをききません

わん わん わん
ささやくように よびかけるように ずっとじめんをほっています

なかまのいぬはききました
「たからものでもあるのかい?」
くろいいぬはこたえました
「そうさ、ぼくのいっとうたいせつなたからものさ」

さいしょは かすかな こえでした
それはどんどんつよくなります

わん わん わん

じめんのなかでないていたのに

わん わん わん

はれのひは わらうように
あめのひは はげますように
どんなひも

じめんのなかはてんきなんてかんけいないのに
はれも あめも すてきなひにかわって

いつしか なみだはとまっていました
わん わん わん

ひかりが みえます

わん わん わん

すこしだけ そとは こわいのに

わん わん わん

そっと かぜを だきしめて

かおを あげると

なきそうな うれしそうな こえ

「やっときづいたの」

きずも なみだも べろりとすべてなめあげて

やっと こいをする